高血圧

降圧薬の種類と使い方の注意

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降圧薬にはその作用機序から、

カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬、アルドステロン拮抗薬、中枢性交感神経抑制薬、直接的レニン阻害薬(滅多に使用されない)

などがあります。

降圧薬の使い方は症例によって検討する必要がありますが、投薬にあたり一般的に注意すべきことを以下に書きます。

 

単剤・低容量から開始

高血圧緊急症や悪性高血圧に準じる場合(拡張期血圧 110 mmHg以上で頭痛などの症状やこ高血圧による臓器障害が認められる場合)でなければ、血圧の治療を急ぐほど緊急事態ではありません。

2〜3ヵ月かけて緩徐に降圧目標に近づけることを目指します。

 

内服の量や回数をなるべく減らす

個々の病態に合った最少限の薬を処方し、効果が見込まれない薬は漫然と継続せずに中止を検討します。

また、内服の負担やコンプライアンスを考慮し、1日1回投与ですむ長時間作用型の薬剤をなるべく選択します。

一般的に処方されている薬だからといって処方するのではなく、症例に応じて投薬の量や内服のタイミングは異なります。

 

高齢者への投薬、血圧管理は特に慎重に行う

高齢者では投薬後に予測していた効果を上回る急激な降圧がみられる場合があります。

急激な降圧によってめまい、ふらつきや転倒などのリスクがあり、重症高血圧の場合や拡張期血圧 110 mmHg以上の場合でも、投薬開始後2〜4週目の降圧目標は150~ 60/90 mmHg前後に緩めたほうが安全です。

 

薬剤の効果を急がない

特にARBは、高レニン状態を除いて降圧効果が最高に達するまでに1ヵ月前後を必要とすることが多く、投薬の追加や増量は慎重に行います。

一方、Ca拮抗薬の場合は降圧効果の評価は2週間で十分といわれており、外来で速やかに増減することが可能です。

 

作用機序の異なる薬剤を併用

単剤投与で降圧効果が不十分の場合は、薬剤の量を増やすよりも作用機序の異なる薬剤を併用します。

様々な作用機序の降圧薬を併用することで、相乗効果が期待され副作用の軽減を測ることができます。

併用する薬剤を選ぶときは、まずは第一選択薬として推奨されている薬剤(Ca拮抗薬、ARBまたはACE阻害薬、利尿薬)の追加が推奨されています。

最近は配合剤の選択肢も増えているので、内服の負担も考慮し配合剤をうまく使いましょう。

 

利尿薬による降圧効果

日本人は少量の利尿薬併用によって効果が期待できる場合が多くあります。

日本人の食塩摂取量は世界の中でもだいぶ多いという傾向があり(高血圧の種類と原因)、普段の食生活において減塩を徹底すること現実的に難しいと考えられます。

したがって、少量(常用量の1/4〜1/2)の利尿薬を併用することは、日本人の降圧に効果的という報告が出ています。

また、最近は糖尿病の治療薬であるSGLT2阻害薬も利尿作用とともに降圧効果を発揮するため、糖尿病を合併した高血圧患者さんには病態的にも使いやすい薬剤と考えられます。

 

第一選択薬の選び方

もちろん個々の症例にもよりますが、若年者(男性)にはARB、中高年者にはARBやジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が推奨されます。

これは一般的に、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系や交感神経系(カテコラミン分泌)は高齢者になるほど活性が低下してくるため、ARB(またはACE阻害薬)がもつ本来の薬剤効果は高齢者で十分に発揮されない可能性が示唆されるためです。

しかし、糖尿病合併のある高血圧患者さんでは高齢者であっても腎保護効果が期待されるため、結果的に多くの症例で使用されており適切な処方と考えられます。

高齢になると「食塩感受性高血圧」の割合が多くなるとの報告があります。

したがって、高齢者では血管を直接拡張するCa拮抗薬や利尿薬の効果が得られやすいと考えられます。

なお、β遮断薬も降圧作用を持ちますが、糖代謝・脂質代謝を増悪させる副作用が懸念され、第一選択薬からは外れています。

 

副作用の出現に注意

降圧薬を開始後は過降圧に注目しがちですが、副作用としてむくみや咳嗽のほか、悪夢、こむらがえり、歯槽膿漏など意外な症状が出現することがあります。

これらは副作用の可能性を念頭に置かないと見逃してしまう可能性があり、注意が必要です。

 

休薬や減薬のタイミングを見逃さない

降圧薬は一度開始するとやめられなくなるといって拒否される方がいます。

たしかに動脈硬化が進行して一度硬くなった血管を戻すことはできませんが、血圧が上がるその他の原因(高血圧の種類と原因)を改善できれば、降圧薬を減らしたり、中止することも不可能ではありません。

高血圧は、肥満患者さんの減量が進むと改善しますし、塩分制限や禁煙を守るだけでも改善を期待できます。

また、季節によっても血圧は変動し、夏季は暑さで血管が拡張しやすく過降圧になったり、発汗による脱水にも注意する必要があります。

 

血圧測定時の体位による影響

一般的には、坐位よりも臥位において、拡張期血圧が低下することが多いですが、糖尿病性神経障害が強くなると、坐位よりも臥位で血圧が上昇することがあります。

高齢者、糖尿病の合併、α遮断薬や交感神経中枢抑制薬を内服中の場合は、立位による起立性低血圧に注意する必要があります。

 

原則、家庭血圧を基準にする

一般的に、病院で測る血圧(診察室血圧)は自宅で測る血圧(家庭血圧)と比べて上がりやすく、この理由として急いで受診したり、診察やに対する不安、病院という環境への緊張感など精神的ストレスが考えられます。

臓器障害は診察室血圧よりも家庭血圧と相関するといわれ、診察室血圧と家庭血圧が著しく異なる場合には、家庭血圧を目安に投薬調整を行うことが推奨されます。

家庭血圧の測定は、起床時(早朝高血圧の把握)と就寝前は必ず行い、必要に応じて測定回数を増やしてください。

脈拍数は交感神経系と副交感神経系のバランスによって規定されるため、脈拍数を記録しておくと診察時の脈拍数と比較することで緊張度を推測することが可能となります。

 

医療者側はこのようなことを注意しながら診療を行いますし、患者側もすぐに血圧が下がらないという過剰な心配はいりません。
血圧管理には家庭血圧の記録が重要となり、患者さんの協力が不可欠です。
治療に対する不安やご希望があれば、主治医へ相談してみてください。




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