脳血管疾患

肥満と脳梗塞

投稿日:

肥満と脳卒中の関係

肥満によって脳卒中(脳梗塞や脳出血)の発症率が上昇するという報告は多数存在し、特に虚血性脳卒中(脳梗塞)が肥満で増加するといわれています。

BMIとの相関をみた場合、年齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病など他の危険因子で補正しても、BMIが高値であると脳卒中(特に脳梗塞)の発症が有意に増加したとする大規模観察研究が存在します。

 

しかし、一方で、同様に補正することでBMI上昇の影響が有意性を失ったとする報告も複数みられ、BMIと脳卒中発症の直接的な関連は不明瞭とされます。

また、高血圧、喫煙、糖尿病、身体活動度などの補正を加えることにより、脳卒中または一過性脳虚血発作の発症に対するBMIとの関連は消失したという報告もみられました。

 

しかし、ウエスト周囲長やウエスト-ヒップ比と脳卒中発症の有意な関連は、BMIで補正してもなお残存することが複数の研究で明らかにされており、内臓脂肪型肥満のとの関連が強く示唆されています。

したがって、肥満は脳卒中(特に脳梗塞)の危険因子とされますが、病態に付随する高血圧など合併症の寄与が大きいと推察されています。

 

脳梗塞の最大の危険因子は高血圧

脳梗塞の最大の危険因子が高血圧であることには異論がなく、脳卒中の再発や予防において降圧療法の有効性は確立しています。

また、脂質異常症および糖尿病もそれぞれ脳梗塞の独立した危険因子であり、高コレステロール血症に対する治療薬であるスタチンが脳卒中の発症予防には重要であることもまた確立しています。

 

糖尿病への治療介入による脳卒中の予防効果を示すエビデンスについては、インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾンが脳卒中を含む血管イベントの発生を抑制したという報告があります。

 

減量治療による効果

肥満2型糖尿病患者を対象に、運動およびエネルギー制限による体重減量の介入を行い、心血管イベントの発生を約10年間追跡したLook AHEAD研究では、減量率が介入群 6.0%、対照群 3.5%であり、脳卒中の発症率に有意差は認められませんでした。

 

肥満は、高頻度に糖尿病、高血圧、脂質異常症などを合併することが多く、強い交絡因子として統計に影響を与えることが予想され、減量治療と脳卒中の発症抑制についても明確なエビデンスは存在しません。

 

しかし、肥満に対する外科手術による減量は、最大20年間の観察において脳卒中の発症を有意に減少させたとする北欧の報告をはじめ、4つの研究のメタアナリシスにおいてオッズ比 0.49と有意なリスクの低下が報告されています。




-脳血管疾患

Copyright© 医療情報サイト , 2020 All Rights Reserved.