脂質異常症

肥満と冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)

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肥満があるだけで冠動脈疾患になりやすい

肥満は、加齢、喫煙、脂質異常症、高血圧、糖尿病などの危険因子とは独立した、冠動脈疾患の危険因子です。

メタアナリシスでは、BMI < 21に比べてBMI 25.0〜29.0は冠動脈疾患の発症リスクが1.3倍、BMI ≧ 29.0では1.9倍と報告されています。

 

冠動脈疾患による死亡リスクについては、男性においてBMI ≧ 27.0では、BMI 23.0〜24.9に比べて2.0倍高いとの報告があります。

また、体重の増加については、20歳時にBMI < 21.7の男性で体重増加が10 kg以上の場合、同じ条件で体重増加が5 kg以下の場合に
比べて冠動脈疾患の発症リスクは2倍に増加すると報告されています。

特に、男性においてはBMI ≧  22で体重が1 kg増加した場合、冠動脈疾患による死亡リスクは1〜1.5%増加するという報告もあります。

肥満があると、さまざまな合併症に伴い動脈硬化が進展するだけでなく、全身に血液を送る心臓のポンプ機能にも負荷をかけるため、冠動脈疾患だけでなく心不全、さらに腎不全を生じる原因にもなります。

 

メタボリックシンドロームと冠動脈疾患

内臓脂肪型肥満が動脈硬化を進展させ、メタボリックシンドロームが「死の四重奏」といわれるように、明らかに死亡リスクを上昇させることは有名ですが、

2008年の吹田研究でも、メタボリックシンドロームを有する場合、メタボリックシンドロームではない人に比べて、男性では1.5倍、女性では2.7倍も冠動脈疾患の発症リスクを上昇させることが明らかとなりました。

 

肥満、メタボリックシンドロームでは、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)の発症リスクと死亡リスクの他に、二次予防におけるそれらの再発リスクの増加が認められました。

しかし、脳血管疾患を含む心血管疾患(冠動脈疾患の他に、大動脈疾患などを含めた概念)の発症リスクにおいては、高血圧など非肥満者における病態も関与するため、肥満以外のリスクについても注意しなければなりません。

 

肥満が死亡率を低下させた!?

最近のメタアナリシスでは、"Obesity Paradox"として、冠動脈疾患の二次予防においては、非肥満者、痩せている人に比べて、肥満の方が良好な予後を示したという結果が認められました。

 

また、26件の研究および介入試験、218,532人の急性冠症候群患者のメタアナリシスにおいては、過体重から高度肥満では非肥満者に比べて有意に全死亡率が低下したとの報告もあり、

11件の介入研究と23,181人を対象とした統合解析においても、正常BMI(22.5〜24.9)に比べて、心血管イベントの再発、死亡ともに、最も予後が悪かったのはBMI < 18.5の対象者であり、BMI > 25.0であっても正常BMIに比べて良好な予後が認められました。

 

これらは意外な結果でしたが、BMI < 18.5の痩せている人では栄養状態が悪いことが予想され、予後の低下に影響したことも考えられます。

冠動脈疾患の一次予防については肥満によるリスク上昇は明らかであり、やはり適正体重を目標とすべきです。

また、日本人を対象としたメタアナリシスでは全死亡率で肥満の優位性は認められず、肥満者における冠動脈疾患の予後については今後さらなる研究が必要です。

 

適切な食事療法や運動療法の介入による体重の是正が、冠動脈疾患の発症リスクを軽減させることは多くの介入研究のメタアナリシスで認められており、肥満の是正は非常に重要です。




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