糖尿病

肥満と耐糖能異常(2型糖尿病・耐糖能異常など)

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肥満の中でも特に内臓脂肪型肥満では、内臓脂肪の蓄積によって血中のブドウ糖が細胞や組織に取り込まれにくくなるという「インスリン抵抗性」という状態を引き起こし、糖代謝に異常を与えます。

また、血糖値だけでなく、高血圧、脂質代謝異常の合併リスクを高めることから、メタボリックシンドロームの原因となります。
「内臓脂肪型肥満」が悪いとされる理由

高血圧や脂質異常症は糖尿病とともに動脈硬化性疾患の発症および進展のリスクとなるため、根本的な原因となっている肥満を解消することは最も重要です。

 

2型糖尿病の発症を予防するためには

2型糖尿病の前段階である耐糖能異常(境界型糖尿病)の人々を対象に生活習慣の改善を行った研究、Finnish Diabetes Prevention Study やDiabetes Prevention Program の研究結果では、

生活習慣の改善を行った人々の中で、58%の対象者において耐糖能異常(境界型糖尿病)から糖尿病への発症抑制が認められ、薬物療法と同等以上の有効性が示されました。

また、境界型糖尿病から糖尿病への進展予防のためには、現在体重の3〜5%の体重減少、食事量の制限、脂肪摂取量の制限、清涼飲料水などの単純糖質摂取量の制限、食物線維摂取の促進、間食への配慮、運動の奨励、飲酒習慣の是正、禁煙の指導が有効であることがわかりました。

 

糖尿病の発症予防に有効な治療薬

糖尿病の発症予防に有効な治療薬として、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬が糖尿病の発症予防に有効であることが示されています。

しかし、下記のボグリボース以外の治療薬を糖尿病の発症予防として使用することは保険診療で認められていません。(2019年現在)

 

保険診療なら「ボグリボース」

日本人を対象とした大規模臨床試験において、α-GIである「ボグリボース」は境界型糖尿病から糖尿病への進展を40%低下させたという報告があり、肥満、脂質異常症、高血圧、あるいは2親等以内の家族歴のいずれかを伴う耐糖能異常への保険適用が唯一認められている治療薬です。

 

糖尿病+肥満症ではSGLT2阻害薬が奏功!

SGLTとは、sodium glucose cotransporter(sodium glucose transporter)の略で、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれる蛋白質の一種であり、体内でブドウ糖(グルコース)やナトリウムなどの栄養素を細胞内に取り込む役割を担っています。

 

健常者では、腎臓の近位尿細管という部位でSGLT2の働きによって血中のブドウ糖のほとんどが再吸収され、尿糖は排泄されませんが、高血糖状態では、SGLT2の再吸収能を上回るブドウ糖が存在するため、溢れてしまい尿糖として排泄されます。

糖尿病ではSGLT2の発現が増加していることが知られており、SGLT2阻害薬によってこの働きを阻害すると、近位尿細管でのブドウ糖の再吸収が減り、その分だけ尿糖の排泄量が増加し、高血糖が改善されます。

 

SGLT2阻害薬の内服後は、多くの症例で体重減少を認めます。

この理由としては、尿中に排泄されたブドウ糖の分だけ摂取カロリーから引かれることに加えて、ブドウ糖がもつ浸透圧の関係で体内の水分が尿中へ引っ張られ、身体の水分量が減る(脱水状態になる)ことも関与しています。

また、注目すべき点は、長期的に内服すると糖代謝や脂質代謝の改善とともに身体のエネルギー代謝が改善され、基礎代謝が上がるという報告も出ており、この機序については今後もさらなる研究が必要とされます。

 

糖尿病を合併する高度肥満症への外科治療

2014年よりBMI 35 kg/m2の高度肥満症に対する外科治療として、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険診療として認められています。

外科治療は内科治療よりも強い減量効果と、糖尿病の改善効果が得られるという結果が数多く報告されています。




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