食事療法

脂質異常症の食事療法

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基本は摂取エネルギー量の制限

 

脂質異常症の食事療法は、「コレステロール(LDL-C)を下げる食事」と「中性脂肪(TG)を下げる食事」に分類されますが、どちらも摂取エネルギー量を抑えることが基本となります。

 

適正体重へ近づける

摂取エネルギーが過剰になると、肝臓で中性脂肪やコレステロールの合成が促進されます。適正体重が維持できるよう、エネルギーの過剰摂取に注意しましょう。(肥満と脂質異常症)

肥満を伴う場合は肥満の食事療法を実践し、適正体重へ近づけましょう。

 

食物線維をたっぷり食べる

野菜や海藻類、きのこ、こんにゃくなどに含まれる食物線維は、糖質やコレステロールの吸収を緩かにし、食後血糖値の上昇を抑えるなど、メタボリックシンドロームの改善にも有効です。

食べる順番については、「(最初に)食物線維→汁物→蛋白質→(最後に)炭水化物」の最初と最後の順番を守るだけでも効果的であり、食物線維が消化管粘膜に貼りついた状態を最初に作っておくことで、その後に消化管を通過した食べ物の吸収がゆっくりになります。

食物線維が不足しがちな場合は、温野菜にしてみたり、具だくさんのスープを作ってみたり、ミニトマトやきゅうりなど冷蔵庫を開ければすぐに食べられる野菜を常備しておくというのも良い方法です。

 

食塩を減らしましょう

脂質異常症は動脈硬化のもとであり、高血圧を合併するとさらに動脈硬化が進展します。

食塩の過剰摂取は、高血圧の原因となるので注意しましょう。(高血圧の食事療法)

 

食習慣・食行動を見直しましょう

よくかんで、ゆっくり食べましょう。

早食いや大食い、ながら食いを避け、摂取エネルギーを減らせるように心がけてください。

就寝前2〜4時間は飲食を控え、外食をする際はメニューを工夫して選びましょう。

 

栄養バランスの良い食事をする

1回の食事量に気をつけ、主食・主菜・副菜をそろえて、栄養バランスの良い食事をしましょう。

魚類や大豆製品などは、脂質異常症の食事として積極的にとりたい食品ですが、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品には脂肪分が含まれており、とり過ぎには注意しましょう。

 

なお、脂質異常症の種類によって以下のように特記すべき注意点が異なります。

高LDL-C血症の場合は、コレステロールの多い食品を減らしましょう。

高TG血症の場合は、糖質・脂質とアルコールを減らすことが重要です。

低HDL-C血症の場合は、HDLコレステロール (善玉)を増やすにはをご覧ください。

 

 

LDLコレステロール (悪玉)を減らすコツ

 

コレステロールは、主に肝臓と小腸においてアセチルCoAを素材として10段階以上の酵素反応などを経て作られます。

食事からのコレステロール摂取量は、1日0.2〜0.5 gであり、そのうち40〜60%が体内に吸収されます。

一方、体内で合成されるコレステロールは、体重50 kgの場合0.6〜0.65 gであり、体内で合成されるコレステロールの方が明らかに血中のコレステロール値へ与える影響は大きく、食事療法で改善が乏しい場合は薬物療法を検討するのが妥当です。

しかし、実際には食事療法で改善する症例も多数あり、薬物療法を開始している場合であっても食事療法を行うことは大前提となります。

コレステロールを多く含む食品については、以下の表を参考にしてください。

 

 

肉類は脂身が少ない部位を選ぶ

血中のLDLコレステロール値が高い場合に気をつけたいことは、肉類の脂肪分やレバーやモツ等の内臓類のとり過ぎです。牛肉や豚肉は脂身が少ない部位、赤身の多いヒレ肉やもも肉を選び、鶏肉の場合は皮をとり除いて食べるようにしましょう。

ベーコンやソーセージなどの加工食品も控えるようにしてください。

 

卵や魚卵を食べ過ぎない

コレステロールは上記の他、魚卵や魚の内臓にも多く含まれています。たらこ、塩辛、ししゃも、わかさぎなどは食べる量と頻度に注意が必要です。

食卓によく出てくる卵(鶏卵)にはコレステロールが多く含まれているため、注意が必要です。

しかし卵は、蛋白質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく含むすぐれた食品であり、卵に含まれているコレステロールがそのまま血中のコレステロールとなるわけではありませんので、1日0.5〜1個を目安に食べるのは卵との上手な付き合い方です。

なお、コレステロールは卵白にはほとんど含まれていないので、卵白を使って調理することはかまいません。

 

良質な油を選ぶ

飽和脂肪酸である肉の脂身、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、ココナッツオイルは血中のLDLコレステロール値を上げやすい油です。

ラードや牛脂は市販のフライドポテトやカレーのルーなどにも多く含まれています。

一方、LDLコレステロール値を下げる作用のあるオリーブオイルやひまわり油などを使うのはよい方法ですが、油は高エネルギー食品のためとり過ぎには注意が必要です。

オリーブオイルは、HDLコレステロール値を下げずに、LDLコレステロール値を下げ、ドレッシングなど生食にも向くほか、加熱しても酸化しにくい性質があり使用用途も広いので、使いやすい油の1つです。

しかし、 油は種類に関係なくどれも1 gで9 kcal、大さじ1杯分を使用すると約111 kcalにもなる高エネルギー食品であり、過剰に摂取するとエネルギーの過剰摂取となり肥満につながります。

「オリーブオイルが身体に良いと聞いたので毎日飲んでいます」という人は、体重が増えたり血液検査データも全体的に悪くなってしまう傾向があるので、注意してください。

 

大豆製品を積極的に食べる

大豆に含まれる蛋白質には、血中のコレステロール値を下げる働きがあるため、豆腐や納豆などの大豆製品は積極的に食べましょう。

豆腐なら100 g(約 1/3丁)、納豆なら50 g(1パック)が1日の目安量です。

 

 

中性脂肪 (TG)を減らすコツ

 

血中のトリグリセライド(TG)を下げるためには、肥満を改善し、糖質・脂質とアルコールを減らすことが重要です。

 

主食の食べ方を変える

主食であるご飯やパンを食べ過ぎると、エネルギーとして使われなかった分は中性脂肪となり、脂肪として蓄えられます。

食器類をひと回り小さくして、全体的に摂取エネルギー量を減らしましょう。

また、ご飯やパンは精製度の低いもの(玄米、 胚芽米、全粒粉、大麦・雑穀入りなど)を選ぶと、不足しがちな食物線維やミネラルを摂取することができ、おすすめです。

 

メインのおかずは魚を選ぶ

魚に多く含まれる油(DHAやEPA)は薬物療法として使用されており、脂質異常症の改善に有効です。

できることであれば、投薬ではなく普段の食事として摂取する回数を増やしたい食品です。サンマやアジ、イワシなどの青魚だけでなく、ヒラメやカレイ、タラなどの白身魚にもDHAやEPAは含まれています。

摂取エネルギー量を抑える調理法としては、 揚げるよりも、生食、焼く、ゆでる、煮るといった方法を選びましょう。

※ 青魚の食べ過ぎはエネルギーの過剰摂取になりやすいた め、1食量は60~80 g程度(サンマなら1尾弱、サバやブリなら1切れ)にしましょう。

 

お菓子やは清涼飲料水は控える

お菓子や清涼飲料水は糖質が多く含まれるため、とり過ぎは中性脂肪を増やします。

お菓子を控えるとともに、飲み物はジュースや清涼飲料水ではなく、水や無糖のお茶を選ぶようにしましょう。

コーヒーや紅茶を飲む場合は砂糖は使用せず、どうしても甘みが欲しい時には0カロリーの人工甘味料を上手く利用してください。

 

飲酒を控える

アルコールは糖質以外の栄養素をほとんど含まず、多量の飲酒は中性脂肪の増加につながります。

また、飲酒によって食欲が増すことで 食べ過ぎにつながりやすいだけでなく、アルコールには高エネルギーの揚げ物や味の濃いおつまみがつきものです。

おつまみには、野菜の煮物や酢の物などヘルシーな食品を選ぶように意識しましょう。

 

飲酒の適量は、エタノール換算で、男性は1日あたり 20~30 mL以下が適量とされ、これは日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱に相当します。

女性はその約半分の10~20 mL以下を適量としています。

アルコールの適量の目安(1日あたり)

・ビール 中瓶1本(500mL)
・日本酒 1合(180mL)
・焼酎(35度) 2/5合(約70mL)
・ウイスキー ダブル1杯(60mL)
・ワイン 2杯弱(200mL)




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